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カナダグースも毛皮の使用停止を案内|ヴィーガン思想が広まるファッション業界で注目度が高まるダウンブランド「Save The Duck」

カナダ発のダウンジャケットブランドと言えば、誰もがご存じ「カナダグース(Canada Goose)」。そんなカナダグースが去年2021年6月、下記の発表をして一部のニュースで話題になりました。

私たちは、毛皮を使用しない未来を約束します。すべての毛皮の購入を2021年、毛皮製品の製造を2022年までに終了させます。

カナダグースは、製品のフード部分などにコヨーテの毛皮を使用していることに関して長年PETAなどの動物愛護団体より批判されており、カナダでも何度か抗議の対象となっていました。

peta.org/blog/peta-victory-canada-goose-drops-fur/

他のファッション高級ブランド(PRADA、Coach、Versace、Gucci、Calvin Klein、Burberryなど)は数年前に既に脱毛皮を発表してるため、少し遅めの決断という指摘はあるものの、元々極寒地の厳しい気候から身を守ることを目的とした防寒ブランドにとっては苦渋の決断だったと言えるのかもしれません。

動物愛護の観点から見れば大きな前進ですが、ダウンの部分に本物のグースの羽毛を使用しているという課題は残っており、PETAはこれに関しても時代遅れだと指摘していて、引き続き羽毛の使用停止を求める活動を進めていくと表明しています。

ヴィーガンのダウンは存在する?

「羽毛を使用している商品は高級、そうでないものは安物」という認識が今でもまだ残るダウンジャケット業界ですが、実は近年、人工羽毛素材の開発が急速に進んでいて既に多くのブランドで人工羽毛のダウンジャケットが販売されています。たとえば、 The North Face では「ThermoBall シリーズ」、 Patagonia は「Macro/Micro/Nano Puff シリーズ」、そして、バンクーバー発祥のアウトドアウェアブランド Arc'teryx は「Atom/PROTON シリーズ」など。また、カナダ発のヴィーガンブランド MATT & NAT が取り扱うダウンジャケットは全て人工羽毛です。

そして今回紹介するのは、今最も注目されている、2012年にイタリアのミラノで誕生した「Save The Duck」。名前のとおり、Duck(アヒル)を救うことを目的に、羽毛をはじめ動物性の素材は一切使用しない、環境に優しくなおかつ高品質な製品を作ることを目指しているブランドです。

ここで、一般的に本物の羽毛と人工羽毛の違いについておさらいしてみましょう。下記の表を見てわかるとおり、従来の人工羽毛が本物の羽毛に劣るのは、軽量性と保温性、そして柔軟性でした。

羽毛人工羽毛
軽量性
防水性
価格
保温性
柔軟性

Save The Duck

そこで従来の欠点を覆すべく登場したのが、Save The Duck の独自開発である「PLUMTECH」という素材。人工でありながら、軽量性保温性柔軟性を実現する次世代の人工羽毛ということで、今世界中から注目を浴びていて、高級ダウンジャケットブランドに負けない勢いで普及しています。バンクーバーでは、NordstromHolt RenfrewThe Bay などの高級デパートで販売されています。

商品シリーズ

Save The Duck のダウンジャケットにはいくつかのシリーズがあり、それによって使用している人工羽毛素材が異なり性能や用途も変わってきます。最も一般的なシリーズはオレンジのロゴです。

Main
通常

動物素材を使用しないハイテク素材で作られたメインコレクション

Recycled
リサイクル

100%プラスチックボトルから作られたコレクション

Rainy
防水

暖かい防水レインコート

Arctic
極寒

100%プラスチックボトルから作られたコレクション

Biodegradable
生分解性素材

100%生分解性可能な素材で作られた再生可能素材

Pro-Tech
プロテック

超極寒地向け商品

実は筆者も11月末の Black Friday セールで下記のモコモコ付きのダウンを購入しました。モコモコの分、重量は少し重くなりますが、通常のダウンと違いが分からないほど暖かいと体感することができました。

ちなみに、上のダウンはカナダだと $311.36、日本だと 34,100円(どちらも税込み)と、カナダの方が安く買うことができます。動物愛護に関心がある人、人口羽毛のダウンに興味がある人は、日本からカナダに観光に来た際にお土産の1つとして検討してみてはいかがでしょうか。

参考サイト

「カナダグース」が毛皮の使用を終了へ。人気ブランドで加速するファーフリーの動き
huffingtonpost.jp/entry/canada-goose-fur-free_jp_60d52e9fe4b0da66c2ddb4ef

We Did It! Canada Goose Ditches Fur After Massive PETA Campaign
peta.org/blog/peta-victory-canada-goose-drops-fur/

PETA’s 2019 Company of the Year Is Taking Down the Down Industry
peta.org/blog/save-the-duck-2019-company-of-the-year/

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hiro

Tamago TimesのWebやライター担当。2006年からバンクーバーに滞在。日本ではずっとWeb関連、カナダではワーホリ、留学生などへの情報案内やサポートをしながら、副業としてWeb作成やメンテナンス、デザイン、写真/動画の撮影・編集をしながら生活。執筆分野は主にIT、ガジェット、IT、現地情報、留学、ビザ、動物など。

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